保健支援プロジェクト「ラオス・セポン郡遠隔地農村部の母子保健サービス支援事業」

 この事業ではラオス中部のサワンナケート県セポン郡の農村部に住む妊婦さんたちへの産前ケアに焦点を絞った支援を行ないます。このプロジェクトは2015年度JICA(国際協力機構)の草の根技術支援事業として採択され、2017年8月10日に正式契約を結びました。

〇実施期間:
2017年9月1日~2019年8月31日(2年間)

〇背景:対象地はラオス政府により貧困部地域に指定されています。住民の大半を占める少数民族が山間部に散在する村々になかば孤立して暮らしており、女性は生涯に平均5~6人の子供を出産しますが、妊産婦死亡率、乳幼児死亡率ともに全国平均より高くなっています。
 その原因は、貧困やアクセスの悪さよりも、むしろ人々が妊娠出産を自然のこととしてとらえ、医療・保健サービスの利用を求めないことにあります。各村には「村落保健ボランティア」がおり、妊婦の存在を村を管轄する「保健センター」職員に連絡して妊婦健診に誘導することになっていますが、期待通りには機能していません。このプロジェクトでは、以上のような課題の解決のため、村落保健ボランティアと、地域の保健医療サービスを担っている保健センター職員の能力及び連携の強化を図ります。

〇目的:対象となる村々で、村落保健ボランティアと保健センター職員の活動を通じて、妊婦さんたちの健康に対する村人たちの意識が高まり、安全な出産への理解が深まることを目的とします。

〇活動内容:

  1. 村落保健ボランティアと保健センター職員に向けた教材やツール(胎児心音計等)を整備・強化します。
  2. 妊婦さんたちへのコンタクトが難しい男性保健ボランティアしかいない村では、新たに女性ボランティアを選んでもらいます。
  3. セポン郡保健事務所職員、保健センター職員、村落保健ボランティアチームに対し、妊婦さんたちへの適切な保健指導が行なわれるよう、また相互の連携がうまく行なわれ、産前検診率が向上するよう、研修を実施します。

〇実施にあたっての考え方:
 このような発展途上国への保健支援事業で大切なことは、プロジェクトが成果を上げることはもちろんですが、その終了後も改善された状況が継続・発展してゆくよう配慮することです。「外国のNGOがお金を使って活動している間は良かったが、引き揚げた後は元に戻ってしまった」というような事態は避けなければなりません。そのためには、カウンターパート(相手側行政機関)であるサワンナケート県保健局をはじめとする、現地の人々との協働がもっとも重要です。現地の状況をできうる限り把握・理解し、現地の人々の意見を尊重しながら、また現地に人々には私たちのプランを十分に理解してもらいながら、仕事を進めなければなりません。時間と労力はかかりますが、これが「自律的で持続的な発展」につながる唯一の道だと、私たちは考えています。